2019/03/18
今年の冬は寒いですね!皆さんのペットはお変わりありませんか?今回は犬の心臓病のうち、私たちが一番多く目にする病気「僧帽弁閉鎖不全症」についてご紹介したいと思います。 ひとくちに犬の心臓病といっても、人間の心臓病と同じような先天性の心臓奇形によるもの・心臓に寄生する寄生虫(=フィラリア)によるもの・年齢とともに発症してくるもの・・と様々なものがあります。 今でこそフィラリア予防は一般的になりましたが、ひと昔、いえ、ふた昔ほど前までは『犬の心臓病=フィラリアによる循環障害』というのが普通の考え方だったかもしれません。ところがフィラリア予防が普及し、犬の寿命が延びるとともに「僧帽弁閉鎖不全症」という、加齢に伴う心臓病が多くみられるようになってきました。 心臓には4つの部屋(右の上の部屋(右心房)・右の下の部屋(右心室)・左の上の部屋(左心房)・左の下の部屋(左心室))があり、血液は全身→右心房→右心室→肺で酸素をもらって→左心房→左心室から全身へ・・というルートを流れています。各々の部屋には弁というドアがあり、この流れが一方向にしか流れないようにできています。「僧帽弁閉鎖不全症」は、このドアのうち左心房と左心室の間にあるドア(=僧帽弁)やその周りの組織がとけてしまったり、ぼろぼろになってしまう病気です。ドアが閉まらなくなってしまうと左心室の中の血液が左心房へ逆流して次第に血液の流れが悪くなり、やがては肺に水がたまる「肺水腫」というとても危険な状態を引き起こすことになります。 ほとんどの飼主さんはここまで病気が進む前に愛犬の咳や運動をしたがらないなどの症状に気付き来院されるのですが、やっかいなことにそれほどひどくない状態から興奮などにより突然症状が悪化し、時には急に亡くなってしまうケースもあるのです。 この病気は高齢化に伴いみられる病気ではありますが、かかりやすい犬種も報告されています。キャバリアやマルチーズ、シーズーなどの他、チワワやトイプードルなどの小型犬に多い傾向があります。(もちろん、それ以外の犬種で発症しないわけではありません) この病気の予防法は、残念ながらありません。また、かかってしまったら完全に治すことが難しい病気でもあります。でも、早期に発見して治療を始めれば良い状態を長く保つことができます。 まず、特に小型犬の飼い主さんは5~6才になったら定期的に病院で健康診断を受けてください! 無症状でもワクチンやフィラリア予防で来院される際の健康診断で発見される場合が多いのです。そしてこの病気が疑われたらさらに愛犬の毎日の状態をよく観察し、かかりつけの獣医師と話し合いながらその子にとって最良の方法を考え、実践してあげてください。また、高齢の(小型)犬で夜間に咳がひどい・眠ることができず苦しそうに歩き回る、などの症状がみられる場合、肺水腫を起こしているかもしれません。 緊急治療が必要となる可能性がありますので「夜だから・・・」などと思わず、すぐにかかりつけの病院を受診するか夜間救急病院を受診してくださいね!